愛知県美術館

ナホトカ

香月 泰男(1911-1974), 油彩, 画布, 1961年
     
山口県に生まれた香月泰男は、第二次世界大戦時に中国で終戦を迎え、シベリアでの抑留生活の後に復員した画家です。復員の翌年、以後生涯描き続けた戦時の過酷な体験を描いたシベリアシリーズの第一作を発表しました。このシリーズでは、方解末(ほうかいまつ)と木炭の粉末を用いた黒を基調として、戦争体験の記憶や印象を象徴的に表現しています。 線を削り取って描く方法には、その厳しい生活を送った自らと仲間たちへの思いがこめられています。《ナホトカ》は、ナホトカの浜辺で張ったテントの中で、頭と足を入れ違いにして、すし詰めに寝た当時の体験を線刻で描いています。
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