広島県立美術館

自画像

山路商, 油彩, 板(Board), 1942年
     
新潟県出身の山路商(1903-1944)は、大連で育ち、広島に移住。戦前期の広島で、前衛美術運動を牽引しました。 本作は、最晩年の自画像。面長な顔や丸眼鏡とともに、風貌の特徴だった長髪は、戦時のためか失われています。明暗の対比を際立たせ、表現の主体である顔を強調する一方、暗色のうちに細部は沈み込み、茫洋とした人物像を示すようです。山路は、新作に取り組む前に必ずといってよいほど自画像を描き、その数は千枚を超えたといわれます。自己を正視した画面は、対象の本質の探究こそが山路の画業の軸であったことを物語るようです。(藤崎綾)


 語る・共有する

この展示物への投稿

現在、この展示物にはコメントはありません。 展示物の選択へ戻る